半分黄色く変色した林檎と背骨にこびり付いた魚肉は焼けば何とかなりそうだ。
すばやくそれらをかき集め麻袋にねじ込む。
ぐずぐずしていればこの間のように見つかり酷いことになる。
鉄パイプに寄りかかり息を整えながら頃合を見て雑踏に紛れ込んだ。
始めはこの市場で売られているものを掠め取ろうとしたこともあった。
四回まで上手くいったが次には店の男に捕まり腕がが変な方向に捻じ曲がるまで蹴られ右目が血と腫れで見えなくなるまで殴られてからは一度も手を出していない。

歩くときは絶対に人にぶつかってはいけない。
顔を覚えられるし何かを喚きながら決まってメッキが先端に付いた杖や扇で殴られる。
注意深く足元を見つめできるだけ早く、けどそうは見えないように歩いた。

三日に一度集められる市場のゴミの場所を教えてくれたのはスメラだった。
生で食えば腹を壊すが火で炙ればなんとかなると目の前でベーコンの皮をゆっくり焼いてから食べさせてくれた。
捨てられた人形の綿を靴に詰めれば指先が温まること
町外れの下水の一番綺麗な場所で身体を洗うと痒みが消えること、他にもたくさん。

変色していない部分だけを削り取り、背骨の尖ったところに刺すようにして炙る。
できるだけ多くの面積が火の温かさを得られるように身体を近づけ膝を抱えた。
スメラは起きてこない。

気が付くと火は消え、食料は黒く煤と化していた。
差し込んでいた日はとっくに沈み辺りは薄暗く遠くのざわめきも聞こえてはこない。

知ってるか?
紫の斑点が体中に回ったら死ぬんだぜ。

そう言ってアスメラが足元で息絶えた死体の袖を捲くり上げその腕を見せたその翌日スメラの首元に小さな痣を見つけた。